2012年5月16日水曜日

MDACC


夏のMD Anderson Cancer Centerへの Short term observation

日本医科大学4年 小田一徳

 

この度、脳神経外科の山口文雄先生の御紹介により81日から12日までアメリカのヒューストンにあるMD Anderson Cancer Centerへ短期間の留学へいってくることになりました。そこで留学に興味のある学生(主に低学年)に向けて今後の留学のヒントになればと思い簡単にレポートを作成することにしました。なお、僕は臨床を勉強してまだ半年足らずであり知識量も非常に少ないので医学的内容に特化したレポートを期待しないようにしてください。なので、これは「留学ってこんな感じなんだ〜」という風になんとなく雰囲気をつかんでもらおうという趣旨のものです。なるべくわかりやすく作成しましたので気軽に読んでもらえたらうれしいです。

 

荷物には白衣や着替え、教科書のほか日本食(サ○ウのごはんとか)を持参することにしました。むこうで日本食が食べたくなった時にちょうどいいかなと思います。なるべく簡単に調理できて道具などがいらないものを選びました。昔アメリカに留学した上級生の方に日本食を勧められていたので参考にさせていただきました。そのほか普段よく読む小説(司馬遼太郎や吉川栄治などの時代小説がメインです)もカバンのポケットに入れておきました。飛行機など時間が余るところで読もうと思います。

ここで教科書の話をしたいと思います。主に使っている教科書は4年生の間でメジャーに使われている教科書です。「STEP」(写真左)はそれぞれの疾患を分かりやすく書いてあり、読み進めていくと理解が深まります。日医のコース試験ではこれをメインに勉強しましたので、いちばんなじみのある教科書です。「病気がみえる」(写真右)は図が豊富で、特に神経版は伝導路や特有の症状が図で説明されていて非常に分かり易いです。このほかに朝倉書店の内科学書(写真中央)とグリーンバーグ脳神経外科ハンドブックを持参しました。朝倉は内容が難しいですが細かいところまで説明されており、アメリカでわからないことがあったらこれで調べられるかもと思い持っていくことにしました。またグリーンバーグは疾患や症状の英名も併記されているので、英語から調べるのに便利だと思います。

  

 日本からヒューストンまでは飛行機で約15時間です。途中ロサンゼルス空港で乗り換えました。チケットは夏休みということもあってか、一番安いものを選んでもユナイテッド航空で20万円でした。現地には、病棟見学の前に事務所で書類を書いて提出しなければならなかったので2日前に現地に着くようにしました。ホテルは1泊約45ドル(だいたい3600円)で非常にリーズナブルでしたが、中はとても広く、キッチンや冷蔵庫、電子レンジなども完備されております。

ヒューストンに到着した翌日にMD Andersonへ足を運びました。MD Andersonの所在地一帯をTexas Medical Centerと呼び、MD Anderson以外にもたくさんの病院が併設されています。事務所ではパスポートやESTAの確認、患者のプライバシーに関する規則へのサインなどを行い、その後ネームプレートをいただきました。

 週明けに病棟見学が始まるので、少しでも知識を入れ直しておくことにしました。まずSTEPを読み直し、代表的な疾患や症候は英語で言えるようにして、病棟で持ちあるくメモ帳にはそれぞれの疾患の英名を記入して忘れたときに確認できるようにしておきました。

    

 

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重量損失の70%

 今日から病棟実習がスタートしました。脳神経外科の事務的な手続きを行ってくれているTrainee and Alumni Affairにて到着の報告をした後、Dr. Weinbergと簡単に挨拶しました。この時かなり緊張していたのか、自分でもよく分からない英語しか出てこなくかなり焦りました。その後、見学で主に面倒を見てもらうことになっていたDr. Sahniに会いました。彼はアラブ系の人で、外見は結構怖そうな感じでしたが、非常に紳士で会話してみると非常に親しみやすかったです。その後、Dr. Sahni からMRIの見方を教わり、次の日の手術予定者のMRIの画像所見について質問されるなどして終わりました。MRIではひとつがcolon carcinomaの転移によるcerebral metastasisでもう一つは悪性のglioblastoma multiform(GBM)についてでした。どちらもMRIRing enhancementや強いEdemaが特徴であることをおさえていたので何となく答えられました。次の日は朝5時から回診をするので5時までに集合と伝えられて終わりました。

 

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 今日から本格的にスタートです。朝5時からですが着替えたりしなければいけないし、MD Andersonは非常に大きいので(軽く見ても日医の附属病院の10倍はあります。もしかしたらっとあるかも・・・)少なくとも30分前につくようにしました。泊まっているところから歩いて30分くらいかかりましたが、移動手段が無かったので歩いていくことにしました(この時間電車もバスもまだ動いていません)。家を出たのが4時前なので当然真っ暗です。5時に集合して、簡単に患者さんの状態を確認した後実際にそれぞれの病室を回ります。一般病棟とICUを順に回り、大体20人くらいの患者さんを診ます。一つの病室につき一人が入院しており(ほとんどが、患者さんのご家族の方も隣で寝ていました)、僕が回診で回ったところでは複数の患者さんのいる病室はありませんでした。日本では相部屋の病室はよくありますね。回診が終わった後はみんなでCaféへ行き朝食をとります。時間は大体7時前でした。ここでフェローの先生方も合流して回診時の意見などを述べて情報交換をします(もちろん何もわからないのでこの間は黙ったままです)。情報交換の後、手術がある先生は手術室へ入るので僕も実際に手術室へ入って見学させてもらうことにしました。この日はDr. Sahni が執刀するということでDr. Sahniの手術を見させてもらいました。前日のcolon carcinomaの転移した患者さんの手術であったので病態などを把握していたため、Dr. Sahniの説明も頭に入ってきました。ちなみに全部英語で説明されるので、とてもじゃないけど100%把握は不可能と割り切り、説明された後で自分の言葉で説明し直して「ここまで分かってるよ〜」的なアピールをしていくことにしました。ただOKとかYESだけじゃつまらないから何か変化を付けたほうが相手ももっと教えてくれると思います。手術は8時過ぎから始まり3時間ほどで終了しました。その後次の手術まで時間があったので軽く昼食をとり、次にglioblastomaの開頭手術を見させてもらいました。大きいマイクロスコープで脳内の腫瘍を拡大して見ながらの手術で、僕や助手の先生は基本的に拡大された画面を見てました。この手術も最後まで見たかったのですが、夜遅くまでかかるらしく、執刀している先生に帰っていいよと言われたので(というか初日で体力がもう持たなかったので)途中で抜けさせてもらいました。このときだいたい夕方の6時くらいでした。この日は初日ということもあり体力的にも精神的にも疲労がたまっていたのですぐに寝ることにしました。

 

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肥満の新聞記事

 今日も朝5時からの回診を見させてもらいました。この日は前日と同じ患者さんの所へ行ったので特に変わったことはありませんでした。前日と同じようにcaféで朝食をとったあとはみんなでカンファレンスに行きます。MD Andersonの脳神経外科では水曜日と金曜日の週二回でカンファレンスを行っていますそれぞれ担当の先生が症例を発表し、その後みんなで意見交換をするというものです。この日は非常に珍しいMycotic aneurysmの症例についての発表がありました。脳神経外科だけの分野ではなく、Mycotic aneurysmを合併するInfective endocarditisについての発表など循環器に関係した話もあり普段は聞けないようなことも聞くことができました。ちなみにカンファレンスでは軽食がでます。Dr. Sahniに聞いてみるとこれがスタンダードなものらしく、みんなパンを食べたりコーヒーを飲んだりしながら話を聞いてました。ちょうど授業中に飲み物飲んだり何か食べながら話を聞いてる感じですね。これもアメリカ流とのこと!カンファレンスの後は手術室に行き手術を見学します。今日の手術は左の前頭葉付近に出来た腫瘍の摘出です。左の前頭葉にはブローカー野という言葉を発するのに重要な役割を果たしている部分があります。腫瘍摘出時にそのブローカー野を傷つけたら喋れなくなるので、手術中にブローカー野を特定してその部分を損傷しないようにしなければなりません。そこで手術中に患者の意識を戻させ、患者に話をしてもらいながら手術をします。(つまり頭蓋骨を開けて、中の脳をいじ っているのに本人は覚醒して話をしている状態です)これをawake craniotomyと呼びます。コードブルーにも似たような手術があったと思いますがよかったら参考に見てみてください。ちなみに術前のMRI所見ではRing Enhancementがみられ、また癌の既往歴がないことからglioblastomaを疑ってその所見を先生に述べましたが、他にもこのような所見を示す腫瘍があるよ、って教えられました。病理診断の結果はglioblastomaでしたが、まだまだ勉強しなければいけないなと教えられる手術でもありました。

 

 

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 3日目くらいから疲れが出てきているようです。5時からの回診ですでに眠気が襲ってきました。これはいかんと思い朝食でコーヒーを多めに飲みました。この日くらいから朝食時の先生達の雑談にちょくちょく入れるようになってきました。特にゲームの話とかが面白く、日本でも人気のあるcall of dutyというアメリカのゲームについては話がよく合って初めて会話に加われたって気分がしました。この日はカンファレンスもないのでその後手術室へ直行することに。今日は蝶形骨に発生したmeningiomaの摘出手術です。いつもと違って頭蓋骨の前半分を開け、ちょうど額のあたりから蝶形骨の奥のほうへ進んでいく手術でした。この手術がなんと10時間かかり、朝8時過ぎから始まって夕方6時頃までかかりました。朝から疲れが出ていたので体力的にも限界を迎えてましたが、唯一の救いはマイクロスコープを使っているときは座って見学できたので、なんとか乗り切れました。腫瘍も蝶形骨の奥のほうに広がっていて非常に取りづらいと執刀医の先生も言ってました。

 

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 今日で一週間が終わります。時間はいつも通り朝5時から。今日は週の終わりだったし、もう慣れてきたころだろうということで回診の時にDr. Shaniからいろいろ質問されました。教科書で勉強したglioblastomameningiomaなどが大部分でしたが、いくつかの症例では、NSCLC(非小細胞癌。詳しくは呼吸器で習います)のT6(第6胸椎)への転移の症例やovarian endometrioid adenocarcinoma(卵巣類内膜腺癌)の転移に対する脊髄視床路切断術を施した人の症例といったほとんど聞いたことのない内容まで聞かれました。もちろん答えられません。特に英語で答えなければならないのでもうお手上げです。そんな時は素直にまだ勉強してない。全く分からないといいましょう。詳しく丁寧に教えてくれました。朝の回診はたくさんの患者を診なければならないので時間の余裕がないにも関わらずDr. Sahniは丁寧に教えてくれました。このように普段見られない症例を丁寧に教えてもらうとアメリカに来てよかったなって思えますね。この頃から徐々にアメリカに来た喜びを実感してきたなって感じます。今日は金曜日なので、朝食後にカンファレンスがありました。主にmetastatic spinal tumorに関する症例で、おおざっぱにいうと脊髄に転移した癌を病期分類してそれぞれどのように治療すると効果的かってのを統計を出しながら説明されてました。話の内容はこれでも30%位しかわからず、後でDr. Sahniに聞いたところ、学生はまだわからなくて当然と言われました。アメリカの医学生でもここまで詳しくは勉強していないようです。


研究うつ病テキサス

 

・一週間を終わって

 一週間が終わって思ったことは、まず第一に会話の難しさです。日本にいてソーシャルプログラムなどをするときは比較的スローペースに英語を喋ればいいので頭の中で考えながらしゃべることができ、その分会話も成立します。ですがアメリカではこの会話の速度が桁違いに早いです。彼らの喋るスピードはもちろん早いし、それと同時に返事も早いです。具体的にいうとこっちがしゃべり終わってないのに喋り出します。これがアメリカというか英語圏の人々の特徴だと思いました。もちろんこっちは日本人なので、ちょっと喋るスピードが速いと言えばゆっくり喋ってくれますのでなんとか理解はできますが、いちいちそのようなことを言っていられないので会話の速さについていく必要があります。また彼らの� ��話の展開がとても速く、自分が喋ろうと思ったら別の話題になってるということがよくあるのでどうしても黙りがちになってしまいます。このように会話に入るのが難しいことを痛感した1週間でした。もうあと1週間しかないと同時にまだあと1週間あるので医学勉強と同時に会話も上達させようと思います。

 

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 週が変わって月曜日です。と同時に今週が最後の週なのでひとつでも多くのことをみてこようと気合入れていきました。毎朝同様5時から回診するのですが、実はこの回診の時にその日手術を受ける患者さんの状態を確認することができます。術前に撮影したCTMRIなどはすべてパソコンで確認できるので、このとき画像をみて何の腫瘍で、どのような手術を行うのかを先生に聞いて確認します。その手術の術式が分からないときは先生が丁寧に教えてくれます。一回で20人前後の患者さんのところを回るので全ての状態を英語で把握することは不可能であったので、このようにその日手術を受けられる患者さんの状態だけはきちっと把握してから手術室に入るようにしました。また、このように確認しておくと手術後、すなわち次の日の回診のときにどのような状態になっているのか頭に入りやすく、また先生の説明も理解しやすくなり、その分質問などもできるので非常に効果的でした。この日の手術は右側の頭頂葉に出来た腫瘍の摘出手術です。画像をみて僕はglioblastoma multiform(GBM:悪性度の非常に高い神経膠腫の一種)と考え、所見を述べましたがあっさり全否定され、meningiomaと説明されました。開頭術で腫瘍を摘出し、病理診断をした結果、やっぱりmeningiomaだったらしいです。ちなみにGBMmeningiomaは先生が言うには画像所見はかなり違うといわれました。まだまだ勉強が必要だなと感じました。

 

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 徐々に回診や手術見学にも慣れてきたなと感じるようになってきました。なぜなら患者さんの状態が把握できると自然と症状や、術後の経過について質問ができるようになり、そこから会話が生まれるようになったためです。なお、一緒に回っているDr. Sahniは日本文化のことをよく知っていてこっちが日本の話題を振るとよく返してくれます。この日はカンファレンスもなく、また手術も目立ったものがなく以前にも見たマイクロスコープを使った開頭術であったので早めに帰ることができました。

 

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 この日は回診でちょっと興味深い症例を見ることができました。内視鏡を使って第三脳室にできた血腫を取り除く手術をした患者さんをみさせてもらいました。術前のMRI検査ではT1T2がともにlowであったため、腫瘍ではないことが分かっていたようです。(腫瘍ならT1lowT2highになります。詳しくは神経のコース講義で出てきます)また第三脳室に出来ていたことから頭蓋内圧が上昇していたらしく、その所見についても教えてくれました。また、この日の手術見学で初めてprofessor Sawayaに会うことができました。Professor Sawayaは山口先生のお知り合いで、MD Anderson の脳神経外科の教授です。彼に挨拶すると僕の存在を知っていてくれたらしく非常に歓迎されました。また、山口先生の話や、アメリカの話などいろいろな話をしてくれました。また、非常に気さくで、手術後に一緒に写真もとってくれたりと忙しいのに大変親切にしてくれました。彼の手術はawake craniotomyでした。前にも一回見たけど、今回はある部位を刺激したとき患者さんが喋れなくなるところがよく見ることができたので非常に有意義でした。

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 この日は回診で脊髄転移腫瘍の患者さんを何人か見れました。脊髄転移腫瘍の摘出手術を前日に受けた患者さんだったのですが、次の日から起きて歩いたりする練習をさせようとDr. Sahniが言ってました。アメリカでは入院日数が日本より短いので、これも早期離床なんだなと感じました。ただ、やはり背中を大きく切り開いたので疼痛が激しく、疼痛管理はしっかりする必要があるとも言ってました。別の患者さんではL55番目の腰痛)に腫瘍が転移しており、その部位を調べるのに皮膚分節を調べるところを見学できました。足の甲の内側、中央、外側に対応するのがL4,L5,S1なので、L5転移で神経が障害されていれば足の甲の中央付近に感覚障害がでます。実際回診でも中央あたりが感じないと言っていました。この日の手術では、アメリカの医学生と一緒に見学することになりました。手術の合間にちょっと会話する機会があったのでアメリカのmedical schoolの話や試験の話、また卒業後の話など聞くことができました。

 

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 今日が最後の実習です。最後だったので気合いを入れて回診に臨みました。最後の日だったのでDr. Sahniとも普段よりたくさん会話をすることができました。今日はpituitary adenomaの患者さんを診ることができました。acromegalyの患者さんは教科書で見たように特徴的な顔つきで、手足も非常に大きく太くなっていたのでとても印象的でした。Dr. Sahniも典型的なacromegalyで、学生にとってはいい勉強になると教えてくれました。また、既往歴でしたが初めて銃創も見ました。アメリカではよくあるようで、僕が見た銃創はピストルの中でも小さいものだったらしく、もっと大きいライフルになると弾丸に当たった四肢が大きくえぐれたりすると教えてくれました。また手術でも珍しいものを見ることができました。右の頭頂葉と後頭葉の中間あたりにできたcerebral abscess の摘出手術や、下垂体に出来たnon-functioning tumorを摘出するTrans sphenoidal resectionを見ることができました。どちらも初めて見る手術で内容がよく分からなかったのですが、Dr. Kimが非常に丁寧に教えてくれました。Dr. Kimとは数日前から手術室で一緒になることが多くよく会話するようになり、手術の間の空いてる時間にはcaféにも連れて行ってくれ、そこで話してみると彼女はカナダからフェローシップでMD Andersonに来ていて1年間のフェローを取得したようです。彼女の手術ではアプローチの仕方や術後の縫合の仕方など僕にとってハイレベルなことまで教えてくれました。一緒に写真を撮る時間がなくて残念でしたがDr. Sahniと同じく非常にお世話になった先生です。

 

・留学を終えて

 以上が僕の短期留学での出来事です。文章ではうまく伝えられないのですが、実習中はずっと緊張します。何かを得ようと必死になるも、それに見合った英語が出てこないので自分としては満足出来ないことがよくあります。聞き返しても何を言ってるのかさっぱりわからないなんてのはしょっちゅうありました。ただ、そのような状況でもいずれは慣れてきます。それと同時に余裕が生まれると徐々に周りになじめてくるので、最初のころの緊張はそうでもなくなります。僕の場合やっと慣れてきたな、って思えたのが実習の最後のほうだったので、留学としては2週間は少々短い気がします。できれば1か月くらいあったほうがいいかもしれませんね。

 また、留学で得られるのは医学的な知識だけではありません。実習中に面倒をみてくれた周りの先生とも非常に仲良くなれます。アメリカのこと、日本のこと、自分の知っていることを精いっぱい話して打ち解けることができれば彼らの環境になじむのもそんなに時間はかからないと思います。Dr. Sahniは忍者、侍、流浪人や、江戸時代の風習が非常に気に入っているらしく、その話で盛り上がりました。日本の歴史についてはよく本を読んだりしていたので彼とそのことについて話すことができよかったと思います。またほかの先生でゲーム好きの先生がいたのですが、僕がよく遊ぶゲームのことを知っていたのでその話もすることができました。最初は緊張もあって、どんな話題を出せばいいか思いつかないことが多いですが、とりあえず思いついたことを話題に出すのがいいと思います。それで反応が悪かったら別の話題を考えればいいだけだし、思わぬ話題で盛り上がったりすることもよくあります。とにかく会話に困ったら何か話題を出してみるといいでしょう。これが打ち解ける秘訣だと思います。


 留学することは手続きも大変で、またお金も時間もかかりますが、それらの出費に見合ったたくさんの経験をすることができます。ここで注意して欲しいのは、行けば誰でも楽しい経験ができるということではありません。その留学を自分にとって有意義なものにするには目的意識を持ち、自分から何かを得ようと積極的にならなければいけません。経験は向こうから与えられるのではなく、自分から積極的にアプローチすることで貰いにいくものだと思います。なのでみなさんが留学に行くことになったら、恥ずかしいくらいに積極的になってください。英語でうまく言えない、相手の言っていることがよく分からないからといって黙りがちにならないようにすることが重要です。留学ってどのようなものか分からな� ��という方にこのことが伝われば幸いです。

 

・最後に

 せっかくアメリカに行ってきたので休日くらいは観光に行こうと思い行ってきました。ヒューストンにはスペースセンターがありますが、Medical Centerからは非常に遠かったので行けませんでした。写真はDown TownHermann ParkHouston Art Museumの写真です。Galleriaというのは大きなショッピングセンターで、主にここでお土産などを買いました。またHoustonはビーフがおいしいとの評判だったのでビーフも食べてきました。写真のビーフはあまり大きく見えませんが1ポンドです。マクドナルドのクォーターパウンダーの4倍です。量が多くてびっくりしましたがこれもアメリカなんだなって感じました。

 



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